勝利試合のその後は、スタジアムに安ど感に広がります。私は勝利の余韻に浸るこの時間が心地好く、宇賀神友弥選手の言葉にもありますが、試合後に「We
Are Diamonds」を聴く、この瞬間がたまらなく好きです。
イングランド2部レスターシティFCへ完全移籍が決まった阿部勇樹選手も、9月5日(日)、日本を発つ前に聴くことができました。サポーターの皆さんからみれば、“聴かせることができた”と言えるでしょうか。ホームゲームでの勝利は、5月の名古屋グランパス戦以来なかったですからね。
5日(日)、天皇杯2回戦。7対0と大勝で初戦を突破した試合終了後の夜7時。約束どおりにスタジアムへ応援に駆けつけていた阿部選手がサポーターの皆さんの前に姿を見せました。即席の移籍報告会です。
阿部選手が何か言葉を発したわけではありませんが、それは素敵な、阿部選手らしい時間となりました。阿部コールが沸き起こるスタンドに上り、胴上げ。そして、ピッチ上でもチームメートから胴上げをされました。1回、2回、3回と、阿部選手の体が宙に舞います。原口元気選手やカメラマンの話では、サポーターの皆さんの声援や「ありがとう」「頑張れよ」の声、そしてチームメートの手荒い祝福に涙していたそうです。
私は、移籍記者会見後、小野伸二選手の時と重なるものを感じたとこのブログに記しましたが、会場が浦和駒場スタジアムだったこともあって、会見の時以上に『世界にはばたけ、伸二』と自信を持って彼をオランダの地へ送り出した2001年の夏を思い出しました。
サポーターの想いがつまったタオルマフラーを首いっぱいに巻いて、1人1人と丁寧に握手をしてまわった阿部選手。彼にとってのホームと呼べる場所は、やはりACL優勝を決めた舞台でもある埼玉スタジアム2002だと思います。しかし、私はこの移籍が決定した直後の試合が、浦和の歴史がつまった駒場で良かったなぁと強く感じています。
駒場だったからこそ、阿部選手も、サポーターの皆さんも、手と手を触れ合わせ、互いに「ありがとう」を言えたのです。もちろん、阿部選手は席が遠く手が届かなかったサポーターの皆さんにも、テレビやレッズプレス!!を通じて応援していたサポーターの皆さんにも、皆さんに感謝していますよ。でも、サポーターの想いを感じられる距離にいてくれる、理解してくれる、それがとても阿部ちゃんらしくて、私はピッチ状態は別にして駒場で良かったなと思いました。
これが最後とは言いません。でも、区切りがついた方も多いのではないでしょうか。
私も、これからの浦和レッズに対して、「阿部選手がいなくなったから……」とみるのではなく、「阿部選手がいなくなったからこそ……」という視点で取材を進めていこうと思います。実際、ケガ人や代表で離脱者が多かった試合でしたが、阿部選手が存在感を見せたボランチの位置には、濱田水輝選手が入って90分間落ち着いた彼らしい力強いプレーで全体を引き締めてくれました。こういう選手が出てくる可能性が増えたのです。それは阿部選手も期待していることでしょう。
浦和レッズの新しい歴史の1ページが開きました。
有賀久子
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