~阿部が残したメッセージ~
2010.09.03

1日(水)、大原サッカー場で阿部勇樹選手の移籍記者会見が行われました。
移籍先は、日本で言う2部にあたるイングランドのリーグチャンピオンシップで戦っている古豪レスター・シティFC。レスターという街は、あのゲーリー・リネカーの故郷でもあります。ここが彼の新天地となるのですね。

サポーターズカフェで行われた記者会見。
現在清水エスパルスでプレーする小野伸二選手が初めて海外移籍を決意した2001年を思い出しました。あの時はラストゲーム直後に記者会見が行われ、集まった記者もカメラマンもみんなが「伸二、頑張れ!伸二、新天地で戦ってこい!」といった気持ちで温かく送り出していました。阿部選手の会見も、その時と同じように空気に包まれていました。

このところ寂しい別れ方しかできなかったから……
拍手で送り出すことができなかったから……
今後のチームの戦力を考えれば、大きな痛手には違いないのですが、阿部選手の海外移籍の夢は彼がジェフ千葉から浦和へ移籍してきた時から聴いているので、ホッとしたという気持ちとこれまでの感謝の気持ちでいっぱいになりました。

記者会見のなかでひとつだけ聴きたいことがありました。
それは「浦和の若手の良いところ、今後に期待するところ」
阿部選手が一緒にプレーしてきた若手選手へメッセージをどうしても残してもらいたかったのです。なぜならば、阿部選手は彼ら若手選手にとっての道標だったからです。どの選手も「阿部さんのように」とそういつも口にしてきました。

その質問に対する全文がこちら。
「若い選手同士で話しているときのトーンと、僕ら上の年代が入るときのトーンがだいぶ変わるので、そこはちょっとやめてもらいたいなと(笑)。同じくらいのトーンで話しかけてくる選手もいれば、ちょっと何人か入るとトーンダウンしてしまう選手もいるので、そこをちょっと直して欲しいと思います。僕もそうでしたが、どうしても上の選手に言わない、指示する、しない、やっぱり僕自身も出せない時期はありましたし、それは一緒に練習してきて、僕自身がそれじゃ遅いと思っているくらいだから、同じことはして欲しくないということで、それは気になる選手には言ってきたので、特に心配していないです。でも、僕は外から来ましたが、レッズは、すごいクラブだと思うし、あれだけのサポーターが入るじゃないですか。それが当たり前だと感じないようにしてもらえればいいと思います。こんなクラブは滅多にないですから。当たり前だと思ってほしくないです。…冗談っぽい感じで言っておいてください(笑)」

質問者である私の顔を見ながら、阿部は冗談をまじえながらも、真剣に答えてくれました。特に最後の件。「レッズの環境が当たり前だと感じないで欲しい」という言葉。この言葉を聴いた時には、私もグッとこみ上げるものがありました。阿部選手の言葉だったら、若手選手も気が付くでしょう。それはプレーにも表れるでしょうし、そこに言葉や態度もついてくるはず。

阿部がチームを去った今。
若手選手は、今までのように阿部選手の後ろを歩くことはできません。これからは彼の背中を追いかけるのではなく、阿部選手の前を走っていくぐらいの気概で戦って欲しいと、私はいちサポーターとして願うのです。

移籍決定から数日経ちました。
あらためて阿部勇樹選手の新天地での活躍を心より祈っています。
今まで“戦う”とは何かをプレーで示してくれてありがとうございました。

有賀久子

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