新人歓迎会
2008.04.16

この季節になり、いつも想い出すのは私の意識不明泥酔事件だ。

昭和45年の春、社会人としてスタートを切った。その4月にスポーツアナウンサーの見習いとして歓迎会が開かれた。寿司屋さんだった。

新人は私ひとりで、あとは異動の先輩たちと一緒だ。緊張もあって、かしこまっていると、周囲が気を遣い半ば面白がって呑ますものだからガンガンやっているうちに意識を失い目覚めると自宅だった。

その日は『競馬見学』から『巨人戦ナイター』までの16時間勤務が予定されていた。「これではいけない」と思い、立ち上がったが、まだ酔っている。完全に急性アルコール中毒だった。胃の腑から胃液とアルコールが混じったものが逆流してくるのだ。とても出勤できる状態ではない。

電話して「競馬は無理」と伝えて、落ち着いた昼頃に局に出向くと、当時のデスクが待っていた。「帰れ」と言う。「酒飲んで翌日勤務をすっぽかす人間はいらないから帰れ」と言う。こちらは青い顔でひたすら謝るが、こんこんと諭されて後楽園球場に出かけた。

それから一年間は針のむしろだった。暑気払いも、忘年会も、宴席という宴席で「大野は呑むと翌日すっぽかす」の大合唱だ。
あの日以来、前後不覚の「酒に呑まれた」状態は一度もない。

いま考えれば、最高のときに酔いつぶれたものだ。そのとき叱ってくれたデスクが私の仲人になるのだから、その上司はいつまでも心配だったろう。枠を外れるなら早いうちだし、いくらでも取り返しがつくのが人生だ。

しかし、最近の新人たちは冷静にお酒と付き合っているよね。「立派だ」と、少しばかり寂しくなる。

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