瀬戸内の旅 その5
鞆の浦散歩
2011.11.04
毎日、15000歩の旅も佳境に入った。尾道までの宿泊は予約していたが、その後は風まかせだった。帰りたくなったら帰る。でも、金曜には浦和にいたい。土曜に新都心のラフレで自転車のフォーラムの進行の予定がある。ましてや、国立競技場には行けないが、ナビスコの決勝がある。少しばかり歩き疲れが出てきたが、尾道に泊まって、山陽本線で福山に向かった。
福山は広島第2の都市である。バッグをコインロッカーに預けて、バスに揺られ30分。今度の旅で最も訪ねたかった『鞆の浦』に着いた。坂本龍馬の『いろは丸』事件で知られる漁港である。北前船で賑わった港でもある。名所を歩けば20分ほどで歩き終わってしまう小さな町なのだが、路地そのもが映画の舞台のようなのだ。実際に、多くのロケ地になっている。
昼ご飯を摂った食堂には、芸能人の写真とサインが所狭しと飾られていた。時代劇から、近代、現代まであらゆる映像が造れる町なのだ。『保命酒』と呼ばれる薬草酒で栄えた旧家の佇まいもよろしい。龍馬ばかりが昨今の特徴だが、それだけでない『鞆の浦』である。
ただ、この町は、いま、真っ二つに分かれての論争が続いている。余りにも狭い県道を行き交う車の混雑とリスクを、どうしたら良いのか。美しい鞆の浦にバイパスを通そうという話が巻き起こり、二派の主張を町で見かける。兎も角、美しい港なのだ。宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』の舞台にもなったと聞いた。どこを切り取っても『絵』なのである。
旅人はこう思うだろう。「この風景を永遠に」と。しかし、町の人々はその風景が日常であり、生活がある。観光で生計を立てる人ばかりではないだろう。鞆の浦は、とても難しい岐路に立っている。『倉甚』という竹輪の名店に寄って昼過ぎにバスで福山に戻り、山陽本線で『倉敷』へ向かった。わずか30分かからない在来線の旅である。